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1度のシンプルなSPE処理によるマトリックス由来のシグナルサプレッションを防止するリン脂質とタンパク質の除去

  • Resprep PLR SPE は簡単で効率の良い1度の手順でタンパク質とリン脂質を除去します。
  • 妨害の原因となるリン脂質をサンプルマトリックスから除去することでシグナルサプレッションを防止します。
  • メソッド開発は必要ありません。酸,塩基,中性化合物において簡単で効果的なサンプル前処理です。

全血,血漿,血清のいずれを分析する場合も,サンプルマトリックスの成分は分析の妨げとなり精度や感度を低下させる可能性があります。沈殿とろ過によるタンパク質除去はトラブル防止のためのごく一般的な対策ですが,この方法では依然としてサンプルにはリン脂質が高濃度で含まれています。LC-MS/MSを用いた分析メソッドにおいて,生成するイオンをモニターしないのであればリン脂質を検出することはありませんが,それでもリン脂質の存在は分析結果や機器の全体的な清浄度に影響を与える可能性があります。

リン脂質によるシグナルサプレッションを回避する方法

もしサンプル中のリン脂質が目的の分析物と共溶出すると,ターゲットとなる分析物のイオン化に影響し,サプレッションや全体的な分析感度の低下を引き起こす可能性があります。シグナルサプレッションを説明するために,ノルトリプチリンを一定流量でポストカラム注入するシステムを確立し,安定したシグナルが得られるかをモニターしました。その後タンパク質沈殿した血漿サンプルをカラムに注入し,リン脂質の存在とノルトリプチリンのシグナルへの影響をモニターしました。図1Aは特定のリン脂質がノルトリプチリンのレスポンスを著しく(この場合38%)減少させたことを示しています。ターゲットとなる分析対象物がリン脂質と共溶出する場合,内部標準を使用することでリン脂質によるシグナルサプレッションの問題を解決でき,さらなるメソッド開発を行うことで共溶出を解消できることがあります。しかしながら,タンパク質だけを除去するのと同じ通常の工程でリン脂質とタンパク質を同時に除去できるのなら,「サンプルから簡単に除去できる物質のためにわざわざメソッドを設計しようとするのはなぜでしょうか?」という疑問が生じます。

Resprep PLR SPE はリン脂質とタンパク質の同時除去を可能とします。1度のシンプルなSPEワークフローで,沈殿とろ過によりタンパク質を除去し,リン脂質は革新的な焼結複合素材に選択的に保持されます。 図1Bは Resprep PLR 96 ウェルプレートを使用して,タンパク質と同時にリン脂質を除去する効果を示しています(カートリッジもご用意しています)。ノルトリプチリンの連続的なポストカラム注入で比較すると,タンパク質沈殿だけではシグナルサプレッションを起こすことが確認できますが,タンパク質と同時にリン脂質も除去したサンプルではシグナルが損なわれることはありません。リン脂質によるシグナルサプレッションを回避することにより,より高い感度と精確さが得られます。

図 1: Pタンパク質沈殿だけではリン脂質によるシグナルサプレッションは防げませんが(A),Resprep PLR SPEを使用してリン脂質とタンパク質を同時に除去することでこの問題を回避できます(B)。

Signal Suppression from Phospholipids
LC_GN0594

メソッド開発することなく広範囲の化合物について良好な回収率

Resprep PLR SPE カートリッジもしくは96ウェルプレートを使用したリン脂質とタンパク質の同時除去は,リン脂質によるシグナルサプレッションを低減することで感度の向上が可能ですが,その広い適用範囲は,メソッド開発にかける時間の短縮という,さらなる利点をもたらします。 Resprep PLR SPE は使用方法が簡単で多くの化合物に効果的であるため,化合物ごとのメソッド開発を必要とせず,信頼性の高いクリーンアップを可能とします。図2の他社競合品との比較で示すように,高い分析精度で酸,塩基,中性化合物について血漿中からの良好な回収率が得られました。異なる3つのLotと3つの対象化合物群について血漿中からの高精度で精確な回収率が示すとおり,厳しい工程管理により常に優れた性能が保証されます(表I)。 

図 2: 製造メーカー別シングル96ウェルプレートによる回収率の評価*

Evaluation of Analyte Recovery for a Single 96-Well Plate by Manufacturer

*添加量は表Iに示す。エラーバーは ±%RSDを表す。


表 I: 異なる3LotのResprep PLR 96ウェルプレート(1ロットにつき3プレート)における酸,塩基,中性物質の総平均回収率

Compound
Class

Compound

Fortification Level
(ng/mL)

Grand Average of
% Recoveries
(n = 787 wells)

Standard
Deviation

%RSD

Acids

CBDA

150

94.1

9.3

9.9

Furosemide

250

105.3

17.2

16.4

Ketoprofen

125

105.4

7.3

6.9

Sulfadiazine

25

108.2

5.7

5.3

THCA

100

68.9

9.6

14.0

Bases

Amphetamine

15

106.8

5.6

5.3

Fluvoxamine

50

104.3

6.4

6.1

Methadone

5

99.4

6.0

6.1

Nortriptyline

15

101.2

6.0

6.0

Propranolol

25

105.0

6.2

5.9

Neutrals

CBN

100

87.7

9.1

10.4

Prednisolone

125

105.0

10.6

10.0


ここで実証された信頼できる性能は, Resprep PLR SPE の堅牢な設計によるものです。上部のフリットがタンパク質を捕え,下部の吸着剤ベッドは,リン脂質を保持するリガンドが結合されたシリカ粒子を焼結した,特別設計の多孔質ポリマーマトリックス(担体)です。この製品ではリン脂質とタンパク質除去のための固相担体が(ふんわりとではなく)密に充填されてるため,チャネリングの影響を受けません。図3では典型的な96ウェルプレートのすべてのテストウェルにおいて,もれなく高濃度のリン脂質が除去されたという結果を示しています。これは分析対象物が効果的に回収可能で,分析の精確さがリン脂質によるシグナルサプレッションに影響されないことを意味します。さらに,LCカラムの寿命を短くする原因となり,MSのイオン源を汚染し稼働停止時間を長くする原因となる高濃度のリン脂質を注入しないことは,装置と全体的な生産性に有益です。

図 3: 典型的なResprep PLR 96ウェルプレートにおけるリン脂質除去性能の例

 Representative phospholipid removal performance for a typical Resprep PLR 96-well plate.

結論として,タンパク質沈殿法のみからResprep PLR SPE を使用したリン脂質とタンパク質の同時除去法へ変更することで,全血,血漿,血清中に含まれる臨床関連物質について,正確で信頼性の高い結果が簡単に得られます。簡単なサンプル前処理過程が幅広い分析対象物に効果的であり,時間をかけたり追加のメソッド開発にリソースを割いたりしなくても酸,塩基,中性化合物に対して良好な結果が得られます。 Resprep PLR SPE は,データに影響を与えるマトリックス効果を除去するだけでなく,カラムや質量分析計へ汚染物質が導入されることを防ぎ,結果としてメンテナンスのための停止時間を減らすことができます。